GoGo トラミちゃん


昔々あるところに、トラミちゃんという娘がおりました。
そして彼女の住む国では毎年激しい女の争い、黄金の杯をかけたF1レースが行われていたのです。
丘の上のお金持ちジャビーノ夫人を筆頭に、「蒼い稲妻」の異名を持つお竜、無類の頭脳(ブレイン)を持つツバメ姫、
誰にも負けない努力家の鯉子さん、きらきら輝く美しさを誇るベイスト。
その六人が毎年激しい争いを続けていました。
皆それぞれ優秀なエンジニアや機体を使い名勝負を繰り広げていましたが、
ここ18年間トラミちゃんは一度も優勝することができませんでした。
一部で熱狂的なファンを持ち、人気はあるのですがどうしても勝てません。

そして今年。トラミちゃんは勝負に出たのです。

「な……本気か、トラミちゃん!?」
「うん。鯉子さんの使ってる特殊エンジン、『カネモットー』をとるわ。それだけじゃない、
海の向こうで活躍していたガソリン『いら〜ぶ』も」
「『カネモットー』に『いら〜ぶ』……!莫大な予算がかかるぞ!」
「この調子じゃどうせ海苔(ノリ)は食べられないと思うわ。あれに比べれば安いもの」
「……わかった。もう何も言うまい」

こうして準備は整いました。
トラミちゃんはチーフエンジニアのほっしーに親指を立てました。
「行くわよ……」
そして始まったロケットスタート。
トラミちゃんは優勝候補だったジャビーノ夫人を一気に置いてけぼりにしてしまいました。
「速い!速すぎるぞ!!」
「まさか『いら〜ぶ』がここまでとは……!」
他のドライバーが驚くのを尻目に、トラミちゃんはぐんぐん加速していきました。
しかも何てことでしょう。
ベイストがわざわざトラミちゃんの加速を手伝ってしまったのです。なんて器用な。

二位のジャビーノ夫人は急いで追いかけましたが、大金を払って取り寄せたエンジン『ペッター』は
無駄な油『オルガ分』が混じっていたので思うように働きません。
気がつけばレースは中盤にも差し掛かっていないのに、11.5車体分の差をつけトラミちゃんが独走していました。
それでもほっしーは言います。『ネバーネバーネバーサレンダー』と。
そしてファンは言います。『道頓堀はもうすぐだ』と。

果たしてトラミちゃんはこのまま優勝するのでしょうか?
それとも周囲の期待通りまたどこかでズッこけてくれるのでしょうか?
それは、九月までのお楽しみです。


……えっ、八月!?



END






5000HIT、おめでとうございます&いつもありがとうございます!
迷惑かけますが、これからもよろしくお願いします(ペコリ)


Ver.Dのひろ吉君から、5000HITのお祝いにいただいたSSです。
ちょーっと最後の一文が余計な気がしなくもないのですが(笑)、
楽しい小説をありがとうございましたvv
ネーミングがおもろい…っ(笑) ジャビ…ぷぷ(思出笑)。
今度はひろ吉君のHPでキリ番ゲットしてDクラ小説も書いてもらおーっと♪
(もうリクするものは決めてたり/笑)
これからも、サイト運営頑張って下さいね〜!
(2003.6.30.)